アメリカにかつて、人生で成功し、裕福かつ幸福な人生を送るための潜在意識の使い方を説いた、ジョセフ・マーフィーという牧師がいた。1898年にアイルランドで生まれ、1981年に83歳で亡くなっている。彼の著書は現在でも売れ続けている。
私がニート状態にあった時、強い引きこもり気質であることから、自分はおそらく、一生、社会で働くことはないかもしれないなあと思っていたのであったが、マーフィーの『あなたも幸せになれる』を読んで、自分が力ある存在であることを納得し、以降、お金には全く苦労していない。エキサイティングな出来事も多く起こるし、どんなまずい状況に陥っても、奇跡のように救いが現れた。
だが、そんな私でも、マーフィーの本は、あまりに軽く、胡散臭く感じることはあった。しかし、最近気付いたのだが、マーフィーの本は、読み手に合ったものを与えるのであり、マーフィーの本を胡散臭く感じるなら、自分に胡散臭いところがあるのである。それなりに、宇宙の真理について理解してから読むと、マーフィーの本の中には、実に深遠で高邁な真理が秘められていることを知り、改めて驚くのである。もっとも、こういったことは別にマーフィーの本に限らず、芥川龍之介やドストエフスキーでも同じことだろう。我が国の、「猫に小判」という、見事な格言の通りである。
マーフィーの教えを実践したとしても、社会で働いたことがほとんど無いという者が、いきなり大金や高い地位を望んで得られるはずもない。しかし、どんなに下手に実践したとしても、全く何もないということは無い。高収入でなくても、質素な生活を送る程度の収入は得られるが、それは、人によっては奇跡のようなものである。そして、経験を積み、知識が増え、精神が磨かれるにつれ、境遇も収入もどんどん良くなっていくのである。

また、マーフィーの本を読むと、繁栄を謳歌していた頃のアメリカの良い部分である、明るさ、豊かさ、活力が感じられ、楽しい気分になるのである。確かに、マーフィーが活躍していた時期のアメリカは経済の絶頂期が長かった。しかし、マーフィーだって、世界的な経済恐慌による不況も知っているし、また、戦後、アメリカ経済が好況だったとはいえ、その経済至上主義の国家政策の中でアメリカ国民の心が疲弊していたのも確かなのである。だが、だからこそ、苦しい状況を克服し、幸福に至る彼の教えは、活力に満ちた輝きがあるのである。困難を乗り越えるほどに人は成長するということが、マーフィーの重要な教えの1つでもあるのだ。大きな試練を乗り越えれば大物になるし、たとえ小さなものしか克服しなかったとしても、それに応じた報酬は必ず得られるのである。
また、マーフィーの大半の著書は、彼がある程度の年齢になってから書かれたものであることも意味深いと思う。最も初期の『HOW TO ATTRACT MONEY』(2つの翻訳がある)は、マーフィーが50代後半、世界的ベストセラー『眠りながら成功する』は60代半ば、上にあげた、私をニートから脱出させた『あなたも幸せになれる』は、70代半ばであるが、その内容は、むしろ後になるほど活力が増しているように感じる。マーフィーは、人は生きている限り成長するのであり、年齢と成功はまるで関係がないことは何度も断言している。

マーフィーの本はどれも同じだという人は、彼の著書の翻訳者にすらいるが、私はそうは思わない。ただ、どれがお奨めかというと、それは読む人による。個人的には、今のところ、『人生に勝利する』、『あなたも金持ちになれる』などが、タイトルに似合わず(?)暖かさを感じる内容で好きだが、どれも良いものであると思う。









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