キリスト教は決してお金持ちを受け入れていなかったということに注目すれば、世界について分かってくることがある。
キリスト教は、本来は、思想や哲学をはるかに超えた英知であり、最高の修行体系でもあった。ただ問題があるとすれば、たった1種類のタイプの人間しか認めていないところだ。それは、謙虚で慈悲深く、犠牲的精神を持ち、個人的欲望の一切を抑えることの出来る人間だ。富を得るなんてことは絶対に認めていないのだ。新約聖書では、弟子入りを希望したお金持ちに、イエスは、全財産を処分することを命じるが、お金持ちはそれが出来ず、弟子入りを断念しているのだ。
ところが、やがて、キリスト教会は、教会に寄付すればOKということにしてしまったのだ。これで、お金持ちは地獄の恐怖を逃れ、偉い聖職者は豪華な宮殿で贅沢な暮らしが出来るようになった。どこの国でもそうなのだが、人々が宗教を信仰する大きな目的というのは、地獄の恐怖であり、どんな宗教にも地獄が必ずあるのはそのためだ。宗教は、地獄の恐怖を人々に説いて寄付を募るのである。寄付すれば地獄には落ちないことにしているのだ。ただ、それにも良い面が無い訳ではないと少し言っておく。地獄というものの恐怖により、最低限の道徳は守られるからだ。多くの国では、道徳は宗教で教えるのが常識なのである。
ちなみに、神道や道教は宗教ではないので、本来、寄付は募らないはずだが、寄付のために宗教化していることも多い。そのためには、神道や道教の教えをかなり捻じ曲げている。
西洋のお金持ちにはユダヤ教徒が多い。ただ、宗教は個人の都合で決められない部分は絶対にある。また、巨大な悪の組織だって、キリスト教会には逆らえないことも多い。
簡単に言うと、旧約聖書を新約聖書で理解しようとするのがキリスト教で、タルムードで理解しようとするのがユダヤ教だ。キリスト教では、上に述べた通り、本来、お金持ちは認めていないが、ユダヤ教ではそんなことはない。ユダヤ教は知恵と力の宗教で、非常に現実的だ。
だが、キリスト教にも、そのような状況に問題を感じ、聖書に新しい解釈を導入した教会が発生する。それが、いわゆるニューソートだ。そこでは、個人的幸福や、富を求めることが肯定されるが、19世紀以降の物質文明の発達に適合したものだった。ジョセフ・マーフィーが牧師をしていたディヴァイン・サイエンス教会もニューソートの1つである。
ジョセフ・マーフィーは成功哲学の教師と考えても良いが、本質はキリスト教の牧師であり、霊的英知を説く宗教家だ。ただ、伝統的なキリスト教が求めるタイプ以外の人間も受け入れるし、従来のキリスト教会のように、「金持ちは駄目だが、寄付すればOK」と言って、教会の偉い人が贅沢三昧するという矛盾もなく、地獄の思想も持たない、実に爽やかなものだった。
ただし、マーフィーの教えが合わず、伝統的なキリスト教を好む人も多いということには注意しないといけない。

宗教というのものは悪いものでなく、本来、非常に良いものであるのだが、それが自分と合っているかどうかは、本来、とても重要なのである。ところが、自分で宗教を選べず、家の宗教に合わせないといけない場合があるのが問題なのだ。
プロレスのジャイアント馬場さんは、家とは関係が無かったと思うが、訳があったのだろう。敬虔なクリスチャンになった。しかし、あれほど世俗に関わった人には、どうしても合わないところは必ずある。それは、多くの真面目な事業家やスポーツ選手にも言える。しかも、熱心にキリスト教を信仰すればするほどそうなのだ。馬場さんはじめ、多くの敬虔なキリスト教徒である事業家が家庭や健康に問題が多いのはそのためであると私には思える。
私は、ジョセフ・マーフィーの本を熱心に読んだおかげで、ニートを脱出し、普通の社会人にはなれたが、金持ちには抵抗がある。マーフィーは、金を愛さないといけないと言うが、その教えに合わない人も実際は多いことを忘れてはならない。

ところで、旧約聖書を新約聖書、つまり、イエスの教えで理解するのがキリスト教、タルムードで理解するのがユダヤ教と述べたが、実はもう1つあるのだ。それは、カバラーである。だが、カバラーは、あまりに強力な力のために恐れられ、闇に隠れてしまった。そして、その真の教えは消えてしまったように思われた。だが、何百年前からかは分からないが、その時の強大な知恵者達により研究され、復活してきてはいる。カバラーは、その恐るべき力から魔法と同一視され、様々な伝説と結びつき、現代の魔法物語の起源になっている。しかし、正確なところはほとんど知られていない。
おそらく、ニューソートも、カバラーの一端から出てきたもののように思う。一端とはいえ、やはり力はあるのだ。それなら、本体の力は想像も出来ないものに違いない。







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