会社などの職場であれば、やめたければ、「やめさせていただきます」と言って、辞表1枚出せば良いのだが、学校の場合はそうもいかない。別の学校への転校は、不可能な訳ではないが、非常に面倒な場合が多い。
それに、学校をやめたら、人生が狂ってしまうような先入観があるかもしれない。実際には、小学校も出ていなくても立派にやっている人もいるのだが、多くの人が学校を過大視する妄信を持っており、やはり、学校をやめた人には、それなりの苦難がある場合が多いだろう。

会社の場合は簡単だと書いたが、そう思わない人も多いだろう。
なんといっても、世間では、現在、大変な就職難だと言われているので、今の会社をやめたら、次の職場が見付かるかどうか分からないし、次の職場があったとしても、待遇や環境、人間関係が今より悪くなるかもしれない。いや、悪くなるどころか、とんでもなくひどい状況になり、後悔する自分の姿が思い浮かんで強い不安を感じることもあるだろう。そうでないとしても、新しい環境や仕事、そして、人間関係に1から馴染んでいくことは、なかなか大変なことだ。
それで、本当はやめたくて仕方がないのに、我慢して勤め続けている人も多いと思う。この点では、学校の場合と同じようなものだと言えるかもしれない。

ちなみに、私は大学をやめ、会社も何度も変わった。しかし、それで損をしたことは一度もないし、それどころか、いつも非常に良い思いをした。
大学に関しては、入学前に決めていたが、アインシュタインを見習って、講義には一切出席せず、図書館に引きこもる予定であった。加藤諦三さんの「大学で何を学ぶか」という1979年初版の本は、いまだロングセラーを続けているが、その本の中に、ある大学教授が、「私の講義が嫌なら来なくていい。だが、代わりに何か身に付くことをやれ」と言ったことや、そこの大学の学生でないことが分かっていても、講義を聞きに来れば黙って受講させた先生などの素晴らしい話があった。それで、私も勘違いした。しかし、それは大昔の話なのだろう。それこそ、竹村健一さんなどは、ほとんど通学せずに京大を卒業したらしい。現在では、そういったことが、不可能であると分かった時は、まさに、詐欺にあったような気分だった。

ここで、本題だが、どうすれば平和な状態で学校や会社をやめられるだろうか?
それは、学校や会社をそのまま続けるのが、嫌でなくなることである。そうなった時、あなたは不安なく、堂々と会社や学校を去ることができる。これは、なんとも矛盾したことのように思われるだろう。嫌じゃないなら、もうやめる必要は無いじゃないかと思うかもしれない。だが、そう思うなら、良いやめ方は出来ない。
学校も会社も、嫌だからとか、損だからという理由でやめてはいけない。そこに入ったのは偶然ではない。入るべくして入ったのだ。なら、去るなら去るで、去るべくして去らなければならない。
もし、学校や会社にいるのが辛いのであれば、その感情を他人事のように冷静に観察することだ。ただし、分析や評価は、一切してはならない。種の発芽や、空の星を望遠鏡で観察するように、ただ静かに観察するのだ。感情が高ぶっても、それに同調してはならない。心がぐらつくなら、ぐらつかせておけ。すると、心がすっと抜け落ちる。あるいは、溶けて無くなる感じかもしれない。そうなると、不思議なことに、いままで嫌だったものが、それほどでもなくなる。その時、既に状況は変わっている。
だが、言うほど簡単ではない。どうしても、感情に取りつかれてそれと一体化してしまい、冷静に観察できなくなる。知らず知らず善悪、優劣、好悪を断定し、観察するより、勝手な思い込みを作り上げたり、良いことが起こることを願ってしまう。
だが、練習次第だ。これが魔法なのだ。我々は、魔法を使ったことが無いので、慣れていないだけなのだ。
ところが、C.G.ユングは、荘子を読んで、この魔法を発見したに関わらず、彼は観念にとりつかれた。それで、結局失敗したのだ。まあ、彼の場合は、アカデミーに論文を出す必要があったので、分析的に考えてしまったのだろう。オツムの良い人は不幸なものだ。あなたも頭が良いだろうが、そんな愚を犯してはならない。

上に書いたことは、もちろん、学校や会社に限らず、あらゆることに使える万能魔法だ。話を限定した方が分かりやすいからという理由より、私に経験があって、本当に分かるからという理由で取り上げた。
学校や会社が嫌でなくなったら、留まるか去るかは自由だが、去る場合が多いだろう。すると、電話が掛かってくる。「今の3倍の給料でどうか」とね。すまん、欲張ってはいけない。無欲な時にうまくいくのである。そもそも、金なんてあまり無い方が良いのである。







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