岡本太郎は、人生の岐路に立った時、危険な方、破滅する方を常に選んだと言っていたが、ドラマティックな言い方であっても、実はそれが一番安全なのだ。
B'zの「さまよえる蒼い弾丸」という歌で、「飛び出しゃいい、泣き出しそうな心を蹴って」という歌詞があるが、岡本太郎だって平気だった訳ではなく、心は泣き出しそうだったのだろう。
ダスキンの経営理念の2行目は「自分に対しては損と得とあらば損の道をゆくこと」だが、これも同じと思う。

だが、ほとんどの人が、安全な方、現状維持の方、安心な方、得な方を選ぶ。いや、それしか絶対に選ばない。
安定した大企業に入るなんて最悪だ。
イエスは、「身体を殺せるものを恐れるな。魂を殺せるものを恐れよ」と言ったが、皆、その教えを守っていないのだ。イエスは、皆に本当に幸せになって欲しかったのだが、我々は不幸への道をまっしぐらに進んでいるのではないかと思う。

変な話だが、誰かを不幸にしたければ、その人に、安全な道、平穏無事な道、得な道を強く勧めれば良い。
まあ、言わなくても、世のほとんどのお母さん方は、自分の子供にそうしている。良い塾に通わせ、良い学校に入れ、良い会社に入れるようにして、不幸への強固なレールだけを用意する。子供が反発しようものなら、あらゆる方法で子供に苦痛と屈辱を与え、引きこもりにでもして、手っ取り早く精神的に殺してしまう。何が何でも子供を不幸にするのである。

宗教人類学者の植島啓司さんが、何かの本で、ギャンブルの神様と言われる人のことを書いていたが、その人は、こういったことをよく知っていたのだと思う。そして、それを逆手に取ったので無敵だった。
滅びたくない、危険を避けたいという相手の心を利用すれば勝てるのだ。
例えば、全財産を賭けるギャンブルをするとする。すると、負けたいと思う人はいない。絶対に勝とうとするだろう。そんな状態の相手に、表か裏か選ばせれば良い。絶対に外すから。
ところが、アニメの「美少女戦士セーラームーンS」でこんな話があった。
土萠ほたるという、11歳くらいの美少女が、トランプの賭けをする。負ければ、自分だけでなく、セーラームーンとその4人の仲間、そして、ほたるの唯一の友であるちびうさ(本当の名はうさぎだが、母親と同じ名なのでこう呼んでいる)らが、永遠に異次元空間に閉じ込められるというものだ。トランプを引くのはほたるで、トランプは2枚。勝つ確率は50パーセントだ。敵はギャンブルの名人で、ほたるを心理的に揺さぶる。ほたるに勝ち目はなかった。
ほたるの手は、敗北のカードに伸びる。その時、ちびうさが、「ほたるちゃん!」と呼びかけ、ほたるは我に帰る。そして、ちびうさは、「どっちでもいいから、ぱーっと選んで」と言う。
岡本太郎流に言えば、「負けていい。いや、負けなければならない」だろう。
ほたるの美しい細い指は、ハートのエースを引き当てた。だが、ほたるは、過去世で、世界をまるごと滅ぼしたことがあったのだった。







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