異邦人は、立居振舞に注意しないといけない。
なぜなら、彼は、自分の民族の代表と見なされてしまうことになりかねないからだ。
これは、異邦人だけでなく、新参者、少数者全てに言えることだ。

黒人初の大リーガーであったジャッキー・ロビンソンは、プレイだけでなく、言動にも最大に気を配る必要があった。彼のやることは、黒人全てがやることと見なされることを、彼は心得ていた。
彼は、生卵を投げつけられても、家の窓ガラスを割られても、家族が中傷されても、チームメイトにすら同じテーブルで食事をしたり、同じシャワールームを使うことを拒否されても、常に、高貴な無抵抗を貫いた。今日、多くの黒人メジャーリーガーが活躍出来るのは、ロビンソンに負うところが大きく、彼への敬意を表して、彼の背番号42は、全球団で永久欠番と指定されている。日本の球団に入団するアメリカ人選手が42を付けたがる理由もそれである。

超能力に関する世論にも、同じようなことがあった。
超能力研究では、デューク大学のライン教授のものが有名で、ライン教授は超能力実験を数多く実施し、超能力を統計的に実証したという。
しかし、これには多くの反論もある。
最も大きな反論は、実験者の中に、実験で不正を働いたことを告白した者がいることだ。それにより、ライン教授の実験そのものに有効性は無いと主張する者は多い。
しかし、膨大な実験の中で、不正者が数名というなら、少ない方であろう。
それに、超能力を従来式の実験手法で検証することは極めて難しい。超能力は、時空を超えて作用する精神の世界であり、実験そのものを疑いの目で見れば、実験結果に影響を及ぼす。超能力ではなくても、量子力学の実験では、何を観測しようとするかにより、観測結果が変わってしまうという奇妙なことが実際に起こることが知られている。

ところで、超能力実験に関し、面白い話がある。
高名な精神医のミルトン・エリクソンが、ライン教授の超能力実験の被験者になったことがあるらしい。
エリクソンは、魔法を使って治していると言われるほど、驚異的な治療成果をあげていた伝説の精神医である。
エリクソンはライン教授の思考を読み取ってライン教授を驚かせ、ライン教授は、エリクソンを高度な超能力者と考えた。しかし、エリクソンは、単にライン教授を鋭く観察することで、あたかも、テレパシーで彼の思考を読み取ったように見せたに過ぎないと言い、その種も明かした。例えば、心の中で言葉を思った時、その者の喉には、その言葉を発音する時と同じ動きが見られるのだという。
しかし、いかに鋭い観察力があったとしても、そんなものを目で見て、本当に、人が頭の中で思った言葉を正確に読み取ったり出来るものであろうか?
エリクソンの治療技術に関しては、当然、よく研究されているのだが、彼のような治療が出来る人は、やはりいないのだ。
彼は、手の付けられない不良高校生を一言の、さり気ない言葉で完全に更生させたことがあるが、高校教師になった彼の娘もまた、札付きの暴力的な男子高校生を一瞬で心を入れ替えさせ、彼が卒業するまで、自分のボディーガードにしてしまった(他にも不良学生は多かった)。
エリクソンが、いかに彼の手法を教えようとしても、あまり成果はなかったに違いない。彼ら(彼と娘)には、超能力としか言えない力があったのだろう。もっとも、現在においては、その力を超能力と言わざるをえないとしても、それはいつか、エリクソンの希望通り、通常の力になるのかもしれない。
私も、エリクソンの技術を基にして考案されたNLP(神経言語プログラミング)のテクニックを使って、酒豪の女性に、一瞬で禁酒させたことがある。私は超能力を使った訳ではないのだけれど、彼女が自分で自分の精神に、超能力を発揮する時のような作用を及ぼしたのだ。

エリクソンは、その驚異的能力の基をいかにして得たのだろう?
1つには、彼が子供の時、唯一手に出来た本である辞書を、延々繰り返して読んだということに注目したい。彼は、ある時期まで、辞書の引き方を知らず、何か言葉を調べる時には、いつも、辞書の先頭ページから見ていった。
そして、彼が17歳の時、ポリオウイルスに感染し、眼球以外を動かすことが出来ないという体験をしたことがある。その時、彼は徹底して見ることを学んだ。
くどくど説明しないでおくが、これらの話に、技術ではない、人が持つ驚異の力の秘密を直観的に感じるのである。







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