虫の大群は恐ろしいということを聞いたことがあると思う。
手塚治虫さんの「ミクロイドS」という漫画の中で、虫が大挙して都市を襲い、人々は抵抗する術もなく殺されていく。ところが、なぜか虫の群の中で平然としている人達がいる。彼らは、実に、生まれてから一度も虫を殺したことがないのだった。
これは、あくまで手塚治虫さんの空想であるのだが、素晴らしい発想であると思う。
画家の横尾忠則さんの「隠居宣言」という本に、これに似た印象深い本当の話がある。
一度も魚を食べたことがない男がいたのだが、彼が姿を見せると、魚が彼の方にすーっと寄っていくというのだ。
また、横尾さんはどこかの国でピラニアを釣りに行かされたことがあったが、釣り自慢の者達が全く釣れない中で、やりたくもなかったのに、無理に釣竿を握らされた横尾さんが簡単に、しかも、連続して釣り上げて驚かせたことがあったようだ。横尾さんは、少年時代、コブナ獲りに熱中したことがあるらしいが(「コブナ少年」という自伝を書かれている)、あくまで網で獲り、しかも、獲ったコブナを大事に飼っていたらしい。魚が可哀想で、釣り針を使う釣りが好きでないと言う。そんな横尾さんに、ピラニアも吸い寄せられたのかもしれないとか思ったものである。

有名な占い師の細木数子さんは大金持ちだが、ある時、テレビで、非常に印象深い話があった。彼女は、サイフの中のお札を、必ず全て、同じきちんとした方向に揃えて入れているらしい。それを見た人が驚くと、細木さんは、「当たり前じゃないの!(バラバラに入れると)お金に失礼じゃないですか」と憤慨した。これが、細木さんがお金に愛される理由ではないかと思う。もちろん、誰もが真似をしたら細木さんのようにお金持ちになれる訳でもなかろうが、極貧になることは免れるかもしれないと思う。
お金持ちは小さなつり銭も必ず受け取るものらしい。また、あるお金持ちは、金持ちになりたければ、毎日十円ずつ貯金しろと真面目に言ったそうだが、その真意が分かるような気がする。

野球選手の中でも傑出した存在であるイチロー選手や松井選手の話を注意深く聞いていると、彼らが、いかに野球道具を大切にするかが分かると思う。彼らだけでなく、一流の演奏家や職人は、楽器や工具を実に大切にするものであり、逆に、それらを大切にしない優れた演奏家や職人は絶対にいない。加えて、イチローは自分のボディを非常に大切にし、ストレッチを彼ほど丁寧に行う選手もいない。

真面目な女の子が、遊び人と分かっている男になぜか抗えずに惹かれてしまうということがよくある。
井上昌己さんの「アナザーフェイス」という歌を聴くと、その謎が分かるように思う。作詞は古賀勝哉さんという素晴らしい作詞家で、作曲は井上さん自身である。
「照明(あかり)をそっと消した部屋 わかっていたはずの私 くやしい 何気ない笑顔 それから 少しの優しさ」
「わかってる本当はあなたも 好きでいてくれること」
もてる遊び人というのは、心のどこかでは女性を大切にしているのだろう。それが女性に伝わるのではないかと思う。
逆にもてない男というのは、表面的には女性に優しくても、大切にしているのは自分だけなのだ。

「トイレの神様」という歌が話題になったが、トイレをピカピカにしたらべっぴんさんになるなんて当たり前のことだ。家の中でトイレほど、べっぴんさんを作るのに大切な場所はない。ところが、冷蔵庫しか大切にしないからべっぴんさんになれないのだ。

以上が、この世で成功する者の秘密の全てである。
簡単なようで、出来るようになるには時間も修行も必要だ。表面的な誤魔化しは効かず、本心が肝心だからだ。
しかし、それは、本当は楽しい修行であると思う。なぜなら、何かを大切にするとは、即ち、自己の本質を大切にすることなのだ。







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